日本財団 図書館


 

田中 ありがとうございました。次にヘロン久保田さんにお願いします。先ほどは通訳としてご登場でしたが、今回はパネリストということで、のちほどお話に出ると思いますが、タイムダラー(時間預託)の活動を四国の愛媛県関前村に取り入れた方です。パネリストでありながら、皆様のお話を同時通訳でアナ・ミヤレスさんに話してもらっています。最後にアナ・ミヤレスさんからの感想を引き出そうという仕掛けになっており、パネリスト兼通訳をしていただいております。では久保田さんお願いします、
●高齢者間題に興味をもち、日本にタイムダラーを導入
ヘロン久保田雅子
私は愛媛県松山市の出身で、現在松山市に住んでいます。松山市というところは、皆さんご存知だと思いますが、俳句の正岡子規が生まれたところです。
私は1965年にアメリカに留学しました。アメリカではちょうどその頃ベトナム戦争のまっただ中で大きく変わっていった時代です。今から10年あまり前の1984年に帰ってきましたが、ちょうどその頃アメリカで元気ないきいきとした高齢者をたくさん見て、その人たちが少しずつ自分たちの手で社会を変えていたのを見ていました。しかし、どうも日本の高齢者はその時代あまり元気がなかったように見えます。そこで何か新しいグループやみんなで話し合える場所はないだろうかと探しているなかでたまたま田中さんにお会いして、長寿社会文化協会(WAC)の存在を知ることができました。WACがアメリカにあるAARPのシステムを取り入れようとしていることも知りました。AARPというのは全米退職者協会で会員が3400万人もいる巨大な組織です。それ以後WACの会員になり、高齢者の問題を勉強させていただいています。
アメリカ生活18年半のあいだに私自身が体験したことは、いろいろな問題を抱えている国のなかで、常に崩れかけている部分を支えているいろいろな市民団体の活動です。アメリカの社会は多民族の集まりをたとえて、モザイク模様だと言われていますが、その崩れかけているモザイクを支えているのが市民団体、NPOだったのです。
帰国後も、もっとNPOのことを勉強したいと考えていたところ、WACの田中さんを通じてアナ・ミヤレスさんを知ることができました。アナ・ミヤレスさんがたまたま松山市のNHKに番組出演のため来日されたときにボランティアで通訳をさせでいただき、そのおかげでマイアミの彼女の家を訪ねることができましたし、またマイアミで実際のタイムダラーの活動を体験することもできました、先程アナ・ミヤレスさんの講演を聴かれて、ああ、あれはアメリカのことで、日本ではそんなことはできないと思っていらっしゃると思いますが、このタイムダラーを私たちの研究グループで人口1000人の、それも高齢比率が42%の小さな島、関前村に社会福祉医療事業団の事業として紹介することができまして、今少しずっそれが展開し、会員の数が増えようとしています。次の機会にそのことについてお話をさせでいただきたいと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION